ドリンクバーでドリンクを注ぎ、テーブルに戻る。
やっぱりその間にも向けられるたくさんの視線、視線、視線。
コソコソと目配せをしたり、あからさまに何かを話す輩が、全てももに視線を向ける。
こんなにも沢山の視線を浴びながら、何の気もないように席へ着いたももに、一度聞いてみたくなる。
見られてんの、気付いてる?
気付いて欲しくないクセに、そんな事が気になってしまう。
パッと視線を奪われてしまう姿を、俺が今独占していると思うと、カッコ悪いけど優越感を感じずにはいられない。
でも、見てんじゃねえよ。と言いたいのが本音。
俺の影に隠して、その姿を見えなくしてしまえたらいいのに。
対面するももに、そんな叶わぬ願いを思う。
しばらく他愛もない会話をしていても、そんな事ばかりを考えてしまう俺は、何度も言うが相当痛い。
俺の頭の中は、ももの事ばかりで埋められてしまう。
ももの頭の片隅には、少しでも俺の事は頭に置いててくれるのだろうか。
頼んでいたメニューが運ばれてくると、美味しそうな匂いに自分が空腹だった事に気が付いた。
「食べよっか。いただきまーす」
「いただきます」
2人して手を合わせて、食事を始める。
ももの体からでは大きなドンブリも、何だか格闘している姿がアンバランスな感じがして微笑ましい。
何度か宗太の家でみんなでご飯を食べたりもしたけれど、それとは違う心地よさに頬が緩んだ。

