**confection**





道を進めば、すれ違う度に振り返り送られる視線。


その全てが、ももに向けられる。


彼女連れだろーが、お構いなしに。



その気持ちも、その魅力も、俺も十分に分かっているから否めない。



そんな存在が、すぐ隣にあると言う今現在。



肩を抱き寄せて、うっとーしいなんて言われても構わないから、そんな視線からももを遠ざけたいなんて考えてしまう。



「なに食べる?」



「ん?うーん…そうだな。ももはなに食いてえ?」



「私?えーとねえ…」



少しでも一緒に居れるなら、何だっていい。


ももと2人で食べる物なら、なんだってご馳走になってしまう。



確かに1人での食事は、味気ない。


だから内心、ももの優しさも純粋な気持ちで嬉しかった。


久しぶりに食べる、人との夕飯。みたいな?


それが好きな女なら、ましてや片思いの相手なら尚更。



「やっぱファミレス?」



「そーなっちゃうよな」



ももの言葉に、苦笑いするしかない。


2人とも、制服のままなので、それなりの場所では無理だ。



できれば個室なんかある居酒屋なんか行きたい所だけど。



残念ながら、制服のままじゃ無理だ。



「じゃ、決定〜!!」



元気よく答えたももに、表情が緩む。


さっきはプリン食べてたのに、ももは意外と食いしん坊なのかもしれない。



「なに笑ってんの?」



「いや?ももがあまりにも嬉しそうだから。結構食いしん坊なのかな〜って。さっきプリン食べてたのに」



「そ、それとこれとは別!!」



ムキになる姿に、やっぱり笑ってしまう俺だった。