「レフトぉーッッ!!」
「能見ぃ!!」
「走れぇーッッ!!」
「落ちろぉー!!」
「…ッッ!!」
「落ちろ落ちろ落ちろ!!」
レフトの能見、センターの岩本が
前進してきた。
打球は短い。
この飛距離じゃぁ
内海でもタッチアップできない。
「アウト!!」
ランナー進めず。
「…………。」
ふいに田場を見た。
上を見て苦しそうな顔をしていた。
前に誰かがしていた気がする。
「………。」
田場の打席はたった1打席だった。
チャンスで回ってきて、
打ちたかったんだな……。
何て言ったらいいのかわかんねぇよ…。
この気持ち……。
何なんだろな。
この気持ち…。
後悔はしてない。
あんだけ考えた打席だったんだ。
なのに………。
何でこんなに悔しいんだよ…!!
歯を食いしばると
悔しさが滲み出た。
「田場!!野球は攻撃だけじゃないぞ!!」
「おー守備もあんだかんな!!頼むぞ!!」
「腐んなよ!!」
今はただ悔しい気持ち抑えて
次の打者に対して
声を張り上げるしかなかった。
「慶大打てよぉー!!!!」
こんなに虚しい気持ちになったのは、
久しぶりだった気がする。


