佐藤先輩は、
俺と龍の中学のときの先輩。
1つ上ですんげぇ体がどっしりしていて、
体格に似合わずすんごい優しい先輩だった。
ポジションも違う。
帰る方向も違う。
なのに凄くよくしてもらった。
1番仲良くしていた先輩だった。
野球が大好きで、
本職は捕手だけどいろんなポジションも
貪欲に挑戦する人だった。
今でも強烈に残っているのは
泥だらけの顔。
黒い肌。
眩しい笑顔。
大きな手に、
大きな笑い声。
田中と呼ぶ声。
全部忘れられないんだ。
佐藤先輩が死んだ事も。
忘れられないんだ。
夜にランニングをしていたところ、
車にひかれて亡くなった。
病院に運ばれて亡くなった。
いつも通りだった。
いつも通り佐藤先輩は笑顔ばっかりで、
特別何かがある様子も無い
普通の日だった。
そんな日に佐藤先輩は亡くなった。
3年生の最後の試合は
佐藤先輩を嫌っていた
2番手の先輩がマスクをかぶった。
その試合は1回戦負け。
捕手のミスもあった。
補逸が2回もあった。
負けたのにその先輩は笑っていて、
なんでか悔しくて、
最後の試合じゃないのに
泣いてしまった。
でも野球を辞めたくなくて
辞めるのは何となく悔しくて、
山田で野球をする事に決めた。


