もし、大地がベンチ入りしていたら、
あの場面、大地が投げていたら…
逆転されなかったと思う。
あのままズルズル引くずんなかったと思う。
目の前の大地を見て、確信した。
長打を打たれた後に、
自信を持って投げるのが恐かった。
その前に自信が無かった。
また打たれるって思ったんだ。
こんな考えだったら打たれるよな。
ちゃんと切り替えられてる大地は強い。
俺なんかより強い。
投手は、技術だけじゃぁ駄目なんだ。
心が強くないと、やってられない。
もし大地が、
和田ぐらいの技術があったら…。
俺はエースじゃなかったかもしれない。
強い心と、高い技術がある
大地がエースだったかもしれない。
それを思うと悔しいんだ。
けっきょく俺は運が良かったんだ。
って思うから。
もっと……
もっともっともっと――…
もっと力があればこんなに悔しくない。
大地に勝ちたい。
「ストライク!!バッターアウト!!」
能見は三振だ。
笑顔で帰ってくる大地。
目が合って大地が寄ってくる。
「悪い。完封逃した」
苦笑いをする大地。
「でもその後三振じゃん。
ナイピッチ!!」
「サンキュー」
って笑う大地。
言った事は本心だよ。
でも少し敵対視した感じには思ってる。
仲間なのにな。
そんな風に思ってる自分が…嫌だ。
大地は仲間だ。
なのに敵だって思ってる自分が嫌だ。


