「大地は強いな…。」
「……。」
隣にいる新谷が何も言わないのは、
きっとあの試合の事をまだ気にしてるからだ。
勝ちたかったよ。
すんげぇ勝ちたかった。
でも、勝てなかった。
勝てなかったのは、
俺のせいだ。
新谷が責任とか、
そんなもん背負う必要はない。
投手なんだ。
エースなんだ。
試合はいっぱいでる。
だからいっぱい相手する。
そんだけ投げてたら失投だってする。
プロ野球界屈指のエースだって、
何回か失投する。
ピッチャーなんてそんなもんだ。
気にするほどじゃない。
「………。」
わかってんのに、
胸のこの重い感じは何だ??
目が熱くなるのは…何でだ??
心が…追いついてないんだ。
頭ん中だったら整理できてんのに…。
何でなのかな…??
わかんないんだ。
あの時にあのコース投げてなかったら
打たれなかったんじゃないのかとか、
そんな事グダグダ考えてるんだ。
何でこんなにグダグダしてるんだろう…。
目の前で楽しそうに投げている大地が、
本当に羨ましいんだ。


