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│5回 表│
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「ピッチャー交代!!篠岡!!」
交代:和田大悟→篠岡証治
「フッ」
短く息を吐いた。
リードしている場面だ。
あの時よりリードしている。
あの時と同じにすんな。
あの時はあの時だ。
今は今だ。
自分の調子もいいし、
バックを信じるぞ。
練習試合なんだ。
公式戦じゃない。
楽しめばいい球投げられるよ。
和田がいい投球してたんだ。
流れは渡さないぞ。
「ん…。」
ベンチから出てきたのは新谷。
「草野は?」
「変わってもらった。
3分の1だけ」
下を向いていて何を言いだすかと思えば、
「草野にお手本だ。
証治のリードの仕方のな。」
「ぁはっ!!」
いつも通りの新谷だ。
「あんな思い、
もぅ2度とさせない。
スパッと先頭切るぞ。」
「あぁ!!」
いつも通りの試合の始まりだ――!!
証治にあんな思いさせてたまるか。
本当に課題しかない試合だった。
証治を1人にして俺は1人で焦って、
勝手に少しイライラして、
もっとできたはずだ。
もっと証治に何かできたはずだ。
もっと打てたはずだ。
もっともっともっともっと―――…。
後悔と課題しかねぇよ…。
でも俺はそれをズルズル引きずる気はない。
後悔は課題に、
課題は技術に、
技術は自信になる。
後悔を怖がるな。
ミスを怖がるな。
後悔もミスも、して当たり前だ。
「しゃぁ証治抑えるぞ!!」
証治にトラウマ作らせないのも
俺の仕事だ。
証治、
最後の試合だ、
………今度こそ勝つぞ。


