「ッシャ次も討ち取るぞ!!」
「ピッチ楽に楽に!!」
「ライト来いライト!!」
「しゃーサード来い!!」
「ツーアウトー!!」
えらい盛り上がってんな。
「田中ぁー」
プロテクターや手袋を持って
ネクストに入る準備をしていた
田中を見つけた。
「盛り上がってんな。」
「あーさっきまで
ノーアウト満塁だったかんな」
「スゲーじゃん」
「山田の犠牲フライで得点したけど
西本が三遊間で、
走った下田がホームで刺された」
「へー…。
…………不機嫌…?」
「まぁ少し;;
後輩に止められると何だか悔しいな(笑)
試合してんのにな(笑)」
「分かる分かる(笑)」
それは勝ちたいからだ。
素直に勝ちたいからだ。
「そーいえば田辺と水畑来てるぞ」
「マジで!?」
篠岡から美波が来ている事は聞いていたけど
健は知らなくてビックリした。
田中と別れて健の所に行った。
近くには美波がいて行きづらかったけど
極力目を合わせないで健に話し掛けた。
「健大丈夫かよ」
「大丈夫だろ」
「おいおい;;」
「大地投げんだろ、篠岡に聞いた」
「投げるよ。6〜9回」
「そっか。頑張れ」
健はパイプ椅子に座っていて、
俺は立っていて、
健は俺を見上げる形だ。
「頑張れ」と言って力強く、
優しく、心強い声で言われて
何となくだけど、
自分がベンチ入りしていたら
健は俺をこぅやって見送ってたのかな
って思った。
「頑張るよ」
ベンチ入りできなかった俺を
少しだけ見下していた感じのあった
健だけど、
認められた気がして嬉しかった。


