フルカウントだからランナーの山田は
走っているはず。
前を見たら山田は走っていた。
「清水さんッッキャッチ零してるッッ!!」
確認より先に体が動いた。
とにかく走らないとって。
1塁に着く前にキャッチが1塁に送球。
俺はアウト。
でも――――…
「ナイス空振りッッ♪」
「うっせッッ!!」
――――最低限の仕事はできた。
親指を立ててナイス!!と嫌味を言う山田に
苦笑いで返してベンチに戻った。
「わり、アウトカウント稼いだ;;」
「いやいや!!ナイスナイス!!」
ネクストにいた篠岡は明るく言った。
「ナイス清水!!」
「ナイス振り逃げ(笑)」
「ナイス信之介」
「清水ナイスなぁー」
「おー…」
「………。」
肩で息してる。
「………。」
負けたくねぇよ。
勝ってやるよ。
次の試合に投げるのはお前だ。
次の試合では今日の汚名返上してやれ。
――――なぁ篠岡…。
そぅ思うと篠岡がくるっと振り向いて
俺を見た。
「??」
「呼んだ?」
試合中なのにキョトンとした顔で
訊く篠岡。
「呼んでねーよ」
笑いながら言うと篠岡も笑いながら
「そっか!!」
っと言った。
「篠岡頼むぞ!!」
「おー任せとけ!!」
ニカッと笑う篠岡。
笑った後には前に向き直して馬場を見た。
「馬場!!打てるぞ!!」
篠岡、俺ら勝つぞ。


