「……。」
俺はじっと篠岡を見詰めた。
篠岡は信之助をチラッと見ると、俺を見てきた。
その時の目は、ブルペンで見たときの目で、少し恐いと思わせるような目。
「……。」
そんな俺に瀬田はサインを出した。
『低めにシュート』
「…。」
俺は今日の試合で初めて首を横に振った。
『インローにシンカー』
「…。」
今度は縦に振った。
篠岡には…負けたくない。
投げると、けっこういい所に行った気がした。
篠岡はバットを振ったけど途中で止めた。
「…、……」
そんな篠岡を見て眉に皺を作った。
「ストライク!!」
瀬田のミットは内角ギリギリで止まっていた。
「「っしゃぁ!!」」
俺と瀬田が一緒に喜んだ。
っし!!まずは1ストライク!!
喜んで緩んだ顔をすぐに締めて短く息を吐いた。
『インローに直球』
神経を低めに集中させて目を瞑った。
息を短く吐いて肩に力を入れて目を開けて構えた。
思いっきり投げた。
カッキィィィィンッッ!!!!
高い金属音がした。
「ライトッ!!」
目の前にいる瀬田が、防具を乱暴に取って大きな声で叫んだ。
目の前にいる瀬田も、篠岡も、遠くで上を見ている。
俺も後ろを見た。


