◆:燵葵



あぁ~良かった!



担任が前で話している中、
俺は一人安堵のため息をこぼしていた。
担任の話なんて
はなから聞くきなんてない
大切なのは、今目の前にある"喜び"


良かった、良かった



もう一度、喜びを噛締めながら
隣の漣を見る
喜びの理由は全て漣だ。



【坂城 漣】

俺の幼馴染。
大きな神社の巫女継ぎで
とてもすごい奴らしいが
俺にはいまいちピンとこない。

漣は漣

俺はそう思う。
なんせ、小さいころから一緒にいたんだ。
そこらへんの大人より
ずーっと、漣のことを知ってる
強気なくせに泣き虫で
人一倍頑張りやで
いつでもまっすぐで
不器用で…



そんな漣の傍に
また1年間居られる守れる


俺はぽーっと空を見ながら
喜びに浸っていた



「燵葵~剣道部見学しに行こうぜ」


【常葉 燵葵】


それが俺の名前。
今日から高校一年。
今年のクラスは最高!



「おぅ」


いつのまにか終わっていたHRに驚きながらも
誘いに来た篠沢にそう返事をすると
バックをつかみ格技場へと向かう



照りつける太陽までもが
俺と一緒に喜んでくれてるような気がした―