漣はこの町で有名な
坂城神社の跡取り巫女。


漣の両親が代々継いだ
跡取りは避けられない。


仏教を信仰とする町には
大切な神社としてその名前は有名だった。






しばらく淡々と今年担当する
担任に名前順に呼ばれていくと
漣の耳に聞き覚えのある名前が
前に立つ担任のマイクから繋がり、
スピーカーから伝わった。



「常葉 燵葵」


「‥…はい!」


立つ際に椅子に足を取られ
よろめいた燵葵は
苦笑いをしながら
乾き切った体育館に
笑いを誘った。


燵葵は同じく常葉神社という
この町の大きな存在の神社の
跡取り息子。


二人は互いの母親の仲から
産まれた時から一緒。





所謂幼馴染みだった。



産まれた時から見てる
燵葵のドジさに呆れるしか出来ない漣は
二度目の小さなため息をついた。



「馬鹿燵葵」