て の ひ ら

「だいたいさぁ、ズボン一つでなによ。
みみっちぃ男!
ねぇ、眞子さん?」



フンっと鼻をならしながら、
おふくろに話をふる漣。
幼馴染だから、親とも仲が良い。



「ほんと。どーしてこんな男に育ったんだろうね。
漣ちゃん。こんな子だけど、よろしくねー」



「はい、眞子さん。
任せてください」


なにが、「任せてください」だよ。
任されてんのは、俺だっつーの。


目の前でやりとられる、嫌味な会話の仕返しに
俺は残りの桜餅、全部食べてやった。




「あぁぁぁあぁぁぁ!!!
ちょっと、何全部食べてんのよっ!燵葵ぃぃい!」


「もごもご…
えっえーん♪
ふほんほほのはのひはへひはーひ♪♪」
(訳:へっへーん♪
ズボンとその他の仕返しだーい♪♪)


「…#
このヤローーー!」



もごもご語を読み取ったのは、
さすが幼馴染というべきか…


しかし、次の瞬間
俺はある事を思い出すと同時に
とんでもない間違いを犯してしまったことに気づいた…。




俺は漣にケンカで勝ったことが












無い…





…バキっ
…ドコっ
…ボキっ




「桜餅の恨みィィィ~~~~」