「本当に行くんだね、涙南……」

悲しそうに言うのは、彼方−カナタ−。

「うん。私には時間が無いから。それに、やっと掴めた手がかかりだもの。無駄にするわけにはいかない」

「そう。じゃ、気をつけて行っておいで。辛くなったら、いつでも帰って来ていいんだからね」

そう言って手を振る彼方に背を向けて、私は歩き出した。


私がこれから向かうのは、私立緋波学園。
中・高・大が一貫の学園だ。
私はそこの高等部に編入する。


「………」

目の前には、馬鹿でかい門。
一応、緋波学園には着いた。着いたのだが、

「開いてない……」



どうしよう。