「妻ちゃん…」


そう言えば、赤坂と一緒に勉強してた時に妻ちゃんが来ては「内緒だ」って言って、チョコとかお菓子を差し入れてくれてた。その事を言ってるんだって事よりも、原なんかよりも説得力がある様に思えた。


「…例え、カンニングしたとしても、それをいきなり成績が上がればバレるに決まってます。カンニングとは周りに知られない様にするからカンニングなんですよ原先生? …そうだ、ナナエちゃんはお元気ですか?」


「…は?」


「なっ!」


先生の前半の言葉は凄いと思ったけど、後半のヤツは意味が分からなくて思わず声を出してしまった。


だけど、原の顔色は真っ赤になって怒りまくってたのに一気に青ざめていった。…えぇ~っと…こう言うのって何て言うんだっけ?


赤くなったり、青くなったり…何かの科学に出てたよなぁ~?


「な、何を言ってるんだねきみはッ!?」


明らかに動揺してる原をよく見れば、手が震えていた。どう見ても、妻ちゃんに弱味を握られてるとしか言い様がない。


「やだなぁ~。原先生のお気に入りのナナエちゃんですよ」


フフフって笑う妻ちゃんだけど、微妙に怖いオーラを感じるのは俺だけ?


俺が殴ってしまった頬を手で、撫で付けている。その姿がどこか怖い…。


「………な、なぜ、君がそれを…」


「…………………内緒です」


ニコッと笑った妻ちゃんの目は笑ってない。その表情に、俺はどこかで見た事がある。


どこだっけ? どこで見たんだっけ?






*リトマス紙