もう一度説明しておくと、
高志が学校を休んだのは本当に風邪のため。

思いっきり走って汗をかいた状態で寝てしまったからである。

『風邪です』
と学校にも連絡が入っていたが、

高志の状態を直接見られない弓倉にしてみれば、

高志の欠席が昨日の出来事のせいであると考えるのが当然だった。

(・・・・・・・・・・・・むう)

本日、高志のクラスの授業があり、そうとうに気をつけて入った教室。

その高志の席が空いているのが真っ先に見えた。

弓倉の胸がざわめく。

以後、その日いち日、
授業、職員室、準備室でも集中できず、
仕事が手につかない。

いつもよりかなり早く帰宅し、
自分しかいない部屋で今度は声に出してうなった。

「むう」