「そんな、今来たばかりですよ」

高志は情けない声をだす。
だが弓倉はつれなく、それどころか、しっしと高志を追い払う仕草までつけて言う。

「未練がましい男は減点だ。続きは後日、以上」
「後日っていつなんです」

鼻先で振られる指先ごしに、弓倉へ上目をくうっとおくる高志。

「明日、明後日はだめだ。会議が入っている。その次だな、その次なら多少は君の希望にそえるだろう」
「約束ですよ」

他に選択しようがないので、
しぶしぶと高志は承諾。

弓倉はあくまでつれなく、

「うむ、だが嘘になっても針は飲まないぞ」

真顔で言って、
高志の両肩をつかんで後ろを向かせると
部屋の外へと追いたてる。

「不満なら私などすぐに切って、歳相応の相手をみつけろ」
「そんなことしませんっ、絶対に」

高志は、来たときのように口をとがらせた。