そのまま力いっぱい、
痛いぐらい締め付ける。

全力の抱擁。

「うわっ、先生、苦しい・・・・・・」

予想外の状況に、
高志はもがもがと首を振り、どうにか弓倉の腕から顔を出した。

ちょうど弓倉の手が襟巻きのように首と肩に巻き付き、

高志は、そこから弓倉の顔を間近で見上げることになる。

「ううっ、先生のやることはびっくりが多いです」

その間近な弓倉に文句を言う。

「他にやり方を思いつかなかった」

真面目な顔の弓倉。

「生徒を目の前で泣かせたのはこれが初めてだ。かなり動揺している」

高志の目の縁には少し涙が残っていて、拭こうにも今の体勢では互いの指は届かない。

「だから、泣いてないって言ったのに」

「そうか」

弓倉は高志の頭を引き寄せ、顔を上げさせ、顔をのぞき見る。

「・・・そんなに近くで見ちゃダメです」

「うむ」

そしてまた、力いっぱい抱きしめる両腕。

「せ、先生、だからもういいですって、うぷっ」