誰でも分かる。

先生は、『美味しいです』と答えてもらるのをすごく期待している。

「えっと、その」

「うむ」

身長差は維持したまま、弓倉の気配が迫る。

美味しいです。
一言、そう言えばいいのは分かってる。

分かっていながら、
高志は先生の勢いに急かされえて、つい、

「・・・・・・普通です」

本当のことを答えてしまう。

しまったと思ったときにはもう遅く、

「あー、君にはやはりフラスコのほうが良かったな。ほこりが詰まってないのがあるといいが」

弓倉が冷たい声で立ち上がろうとする。