「ふむ」

正確には出来かけているだったが、弓倉は視線を外してくれた。

高志に横顔を見せ、湯の出具合を確かめる。

(・・・あぶなかった)

胸をなでる高志。

(でも、先生の結婚か)

そこである想像をしてしまい、また顔が熱くなった。

ぱたぱたぱたっ。
頬を指で叩きながら、急いで想像図を消す。

弓倉は、湯に注意を向けたまま言う。

「まあ、私の住処に何を期待してもいいが、実際に押しかけてはいかんぞ。もてなしの作法を知らん」

「は、は、はい」

高志は素直に頷いた。

「・・・・・・うむ、約束だ」

こぽこぽと、湯が落ちる音がひびく。