「では、代わりにコーヒーでも飲むか?」

「コーヒー?」
「うむ」

弓倉は机の端を指す。

そこには、インスタント用のコーヒーメーカーが置いてあった。

「ほぼ毎日使っているからな。ちゃんと綺麗にしてあるぞ」

弓倉は、引き寄せて言う。

「もし希望なら、フラスコやビーカーを使ってもいいが」

弓倉は、連続する動作で部屋の棚を指す。

棚には、ガラス製の実験器具がいろいろ。

「あれは綺麗なんですか?」

「うむ、数はあるから綺麗そうなのを選ぼう」

「こっちのにしてください」

高志は即決した。

同時に、それは弓倉のコーヒーを飲むと同意したこと。

「では、ボタンに関する君の不快な記憶はこれで相殺だ」

弓倉は勝手に決めた。