弓倉は、そこで会話を切ると部屋の中へ入っていった。

部屋の中から、高志に。

「ではここで君を解放しよう。手伝いごくろう。教室に戻っていいぞ」

「はい」

高志は短く返事をして、弓倉の近くからさっていく。

足音が十分遠ざかり、聞こえなくなるまで待って、弓倉はそっとドアから顔を出す。

「やはり次からは君以外の生徒に頼むとしよう・・・・・・」

つぶやき、
なにげに高志が立っていた場所を見た。

「・・・・・・おい」

と、そこに落ちている学生服のボタン。
ほぼ100%、高志のもの。

「少年、これはわざとか?」

言って、弓倉はすごく困った顔をした。