弓倉は、
その高志に教師として目をあわせた。
高志の驚いた顔。
弓倉は間を置かず指名してやろうとして、
意識とは逆に、高志から視線を外してテキストに目を落としてしまった。
(おい!、何を避けている私)
(縁ができるのが怖いのか?)
弓倉の逡巡。
(縁とか・・・・・・、ただの教師の務めだぞ)
自分を叱り、再び、今度はしっかり高志を見る。
「では、ここの所を・・・・・・」
びくつく高志。
どう見ても、質問には答えられない。
(立って反省しろ、少年)
弓倉はそう念じ、首をすくめる高志の名前を呼んだ。
つもりで隣の生徒を指名してた。
(私は何をやっている!)
弓倉、猛烈に反省。
表情に出せない分、内心でかなり憤る。
あてた隣の生徒を見るという理由で顔の向きを変え、そこからちらりと高志を見る。
高志は、
そんな弓倉の心を読めるはずもなく、
ほうっと息をついていた。
(ほう、少年。安心したか)
高まる憤り。
高まりすぎて、口の端がおかしな笑いの形になった。
それを、どう勘違いしたのか。
高志は、思い切りリラックスする。
(自分だけ楽になるつもりか!)
瞬間、
弓倉はとびきりの難問を高志にあびせていた。


