同じ授業、弓倉の視点。

その日は、弓倉にとっても高志と同じ。
休日の次の日。

弓倉は、高志がいる教室で普通に授業をおこなっていた。

高志の顔は教室に入ってすぐ目に入ったが、それだけのこと。

今日はここからと印をつけておいたテキストと、黒板を道具に授業を進める。

これまでと変わらない仕事。
手順。
動き。

熱心に聞いている生徒もいれば、眠りかけの生徒もいる。

弓倉は、最低限、全ての生徒を眠らせずに話を聞かせる主義なので、

眠りに落ちた生徒がいればすぐに起こすことにしている。

ので、
眠っているのと同じぐらい集中力を欠いている生徒を見ても同様。

その場で指名してしゃっきりさせてやる、
・・・・・・はずだった。

ひとり。

非常にぼーっとしている生徒がいる。

ぼーっとしているのに、
教室の中で一番、弓倉に視線を向けている生徒がいる。

高志だ。