次の日。

高志の教室で授業をする弓倉先生は普通だった。

普通に前のドアから入って来て、
普通に理化の教科書を片手に黒板前を往復して、

高志など気にもとめないで普通に授業を進めている。

一方、高志はといえば、
弓倉先生の顔を見るたびに昨日の出来事を思い出して、ぼーっとなる。

皆の前できびきびと動き、
慣れた手つきでテキストをめくって板書していく姿からは、

昨日の喫茶店で見せてくれた変な弓倉先生は想像できない。

高志が想像できないのだから、
他のクラスの皆は考えもしないだろう。

あそこいる弓倉先生とは違う、
昨日の先生は・・・・・・。

と、考え事にハマっていると、

くるっとこちらに身体を向けた弓倉先生と正面から目があった。

(わっ)