気がつくと、

ちょんっ、
といつもの椅子に座らされ、

背後でドアが閉まり、

弓倉がいつもの机からいつもの姿勢で高志を見下ろしていた。

「あの先生」
「うむ」

弓倉の目から漂う危険な感じ。

どういう種類の危険なのか?
高志は質問する。

「もしかして怒ってます?」
「ああ」

弓倉は、否定しない。

「なぜです?」

弓倉に怒られる理由が思いつかない高志は首をひねる。

子犬は、よく分からないものがあると首を傾げて様子を見るというが、そんな仕草。

弓倉は、
すーーーーっ目を細め、

机の上から一枚のテスト用紙を取って、高志に突きつけた。