高志というのは、小柄な少年だった。

だから、
やや重いものを持つとフラフラとなったり、

野次馬の壁ができたら
後ろでピョンピョンと跳ねたり、

黒板の上を拭くのに
つま先の筋力がかなり必要だったりする、
少年だった。

少年であるゆえに、
背が低いというのはかなりの悩みであり、

まわりの女子と比べて
頭ひとつから半分下という視界は、
高志にとって脱っしたいところであった。

まだ中学生だし、これから・・・・・・。

それが未来への希望。
若者が持つ特権。

・・・・・・だった。

今日、行なわれた身体測定。

高志の成長記録ノートに
1mmも伸びていないという事実が
記載されるまでは・・・・・・。



「・・・・・・・あぅ」