外装程ではないが、綺麗な廊下を歩く。
全長は50メートルもないくらいに短くて、横幅は人が2人が並べるくらい。
両側には等間隔で、ドアが並んでいる。

俺は成瀬さんに教えてもらった個数目のドアをノックした。
程なく、向こう側から「どうぞ」という声が聞こえて、ドアを開ける。
その途端に、化粧品の匂いが鼻を突いた。



「あら、旭。思ったより早かったじゃない。」
「何言ってんだよ。俺が帰る時間狙って連絡してきたくせに。」



真ん中の机を囲むようにソファが円状に置かれている大きめな部屋。
どうやら此処は控え室のようで、開店直前のためか着飾った人達が、もろもろ好きなように開店を待っている。

その着飾った人というのは、女性だけじゃなくて、男性もいる。
その理由は、この店が“ホストクラブ”と“ホステスクラブ”が一緒になっているからである。
近隣の店よりもこの店が大きいのはその所為だ。
2つの店が隣り合ってくっついている形になっていて、入り口が一緒で受付を済ましてからどっち入るかを決める、というシステムになっている…らしい。
成瀬さんに教えてもらっただけで、俺はよく知らないんだけど。



「…で、何の用なんだよ?」
「あんたの学校の担任の先生から連絡があったのよ。」
「……だから何だよ。」
「すっとぼけないの!最近、無断で学校休むこと多いらしいじゃない。」
「……。」



事実を真正面から問い詰められて、俺は何も言えなくなる。