「この子には、どんな嘘もつけないって思ったの。だから俺、遊ぶの完全にやめてこの子一筋になったんだ」
「苦労・・・してンすね・・・」
「君ほどじゃないけどね」
そうか。
簡単になんて・・・諦められないよな。
昨日、俺やっぱ最低なこと言っちまったんだ・・・。
「あ、そういえば。救急車が来る前に君に言いたい事があるって由里ちゃんが」
「え・・・・?」
「・・・・ごめんね」
え・・・・・?
今、由里の声が・・・。
「ごめんねって・・・言うつもりだったの」
由里が目を覚ました。
酸素マスク越しに話し始めた。
「由里・・・話さなくて・・」
「言わないと・・後悔すると・・・」
「え・・・・?」
「私・・・素直になれなくて・・ごめんね?」
由里は涙を流して、優しい笑顔で言った。
ごめんね、なんて・・・俺が言わないとダメじゃん。

