思い出が・・・
あいつと過ごした時間が・・・
全て頭の中に流れる。
『本当・・・私・・・ね。死ぬんだって思ってた。もう、ここまでって思ってた。でもね・・・』
『由夜のお陰で、私、大丈夫だって思えた』
俺のお陰なんかじゃないよ。
由里自身の気持ちで変わったんだ。
俺は・・・・こっちからお前のこと見守ってただけだ。
由里はゆっくりと話し続けた。
『私、幸せだよッ!・・・色々あったけど・・・ありがと・・・お兄ちゃん』
お兄ちゃん。
由里が俺に対して『お兄ちゃん』なんて・・・
・・・初めてだった。
俺は自分の娘が旅立っていく親父のような気持ちが分かった。
嬉しくて、でも本当は寂しくて。
涙が止まらなくて。
「っざけんなよ・・・俺の方が・・・ッッ・・・」
俺は基弥たちに慰められながら
必死に、涙を止めた。

