「私・・・幸せだったよ」


「え・・・・?」


「私・・・由夜と家族でよかったって思った・・・」


「由里・・・・」


「今までね、何でこんなに好きな人が家族なんだって思ってた。でも、どんなに好きな人でも大切なときは傍にいてくれないことが多いの。だからこそ家族の存在が大切だって・・・私・・・・すご・・・・幸せぇぇ・・・・」



涙をボロボロこぼして


笑顔で泣いている由里。


俺も、お前と家族で


よかった


そう思えることができたよ。


俺は由里を優しく、これが人生で最後だと思いながら由里を抱きしめた。



「由里・・・元気でやれよな」


「由夜こそ・・・いい人見つけてね」


「あぁ・・・」


「ごめんね。私・・・迷惑かけっぱなしだった・・・」


「ううん」


「私・・・大人になっても由夜のこと好きだったって気持ち、忘れないッ・・・忘れないからぁ・・・・ッッ・・・・」


「ありがとう、由里」



好きだった。


その過去形の言葉が全てを物語った。


もう、俺と由里は


『好き』なんて関係には


戻れないんだね。