俺は自分を完全に見失った。


瞳から熱いものが流れ出そうで


必死でこらえる。


でもそれにも限界が来るのだと思うと


これも現実なのだと


そう言い聞かせられるだ。



「こ・・・や・・・」


「落ち着いて、由夜。聞いて?」


「あ・・・ぁ・・」


「私ね、あっちに行ったときに良くしてもらった家族の人がいてね・・・」



あっちに行ったとき。


つまり手術後にお世話になった外国人の家のこと。


俺の知らない奴と・・・


由里は結婚するの・・・・?


俺となんて結婚できないのは知ってる。


俺だって由里の幸せを一番に願っている。


・・・・はず・・・・なのに。


何がこんなにも反発している?


何でこんなに複雑な気持ちになる?


由里の婚約を心から喜べない自分がいた。