時間は十一時ちょっとすぎ、お

客は二組。一号室と七号室で盛

り上がっている。

どちらの部屋に用があっても五

号室の前を通らなければいけな

い。しかも七号室の反対側の部

屋は五号室なのだ。何か注文が

あれば背中で五号室を感じなけ

ればならない。


僕は調理場兼カウンターから五

号室を眺めていた。特に変化は

ない。何の変哲もない、透かし

ガラス、ドアノブもあまりキレ

イじゃない。色々な人が触った

のだろう塗装というのかメッキ

なのかわからないがくすんでは

げているみたいだ。