「何やってたんだよ。遅せぇぞ」

コウヅキが仁王立ちで、階段の頂上付近に待ち構えていた。

「お仕事のほうは、今日中にはカタがつきそうでちか?」

そう言って話し掛けてきた船長を見ると、いつもの席に座り、エミリーもいつものように船長の隣で、静かに佇んでいた。

「あ、はい。ミレイユのおかげでなんとか…」

「うむ、ちょうでしょう。あの子なら大丈夫でちからね」

ウンウンと満足そうに、船長は頷いている。

「で?俺とトヲルをここへ呼んで、一体何しようっていうんだよ。まさか、オヤジが見つかったのか?」

どうやらコウヅキも、トヲルと同じ事を考えていたようである。

「あー、しょのことでちか。残念ながら、違うでち」

船長が、ふるふると首を横に振ったのを見たトヲルは、内心ガッカリした。