そう言ったミレイユの傍らを見ると、自動(オート)清掃ロボ『ソウ太くん』シリーズの姉妹版にあたる、荷物運搬用ロボ『うんぱんくん(業務用)』だった。これもゴードンで開発されたものである。

「よくこんなの、借りられたね」

営業所というのは、この建物のすぐ隣にあり、この倉庫を管理している『ゴードン商会アジャール営業所』のことだろう。

トヲル一人だったら、道具を借りるということは思いつかなかった。

「営業所の玄関の前通ったら、そこの男の人に呼び止められてね。訳を話したら、コレを貸してくれたの」

もしかするとその男性は、ミレイユ一人でこの倉庫を整理するとでも、思ったのだろうか。

何れにせよ、道具があればかなり助かることだけは、間違いなかった。

「そんじゃ、始めよっか」

ミレイユが袖を捲りながら言うのが、合図だった。