「これからあのマンションに、借金の取り立てに行く。あんた一人で行ってきてくれ」

先程いたドームから、更に5駅ほど先に進んだこの街に降り立ち、コウヅキが最初に言った言葉が、ソレである。

当然トヲルは唖然とした。

「な、なんで僕が…?」

「だってあそこン家のオバさん、苦手なんだよなぁ」

コウヅキは自分の後頭部を掻きながら、なぜかバツの悪そうな表情をする。

「そ、それだけの理由!?」

「まぁな」

ここで流石のトヲルも、もう我慢できなくなり、思い切って言った。

「あ、あのっ。何で僕があなたの仕事を、手伝わないといけないんですかっ!」

「そりゃ、それがあんたの責任だからだろ」

「…は?」

即答で返されたが、言っている意味が解らない。「責任」とは何のことだろうか。