目を丸くして固まっているトヲルから離れると、その足元付近でコウヅキと船長の二人は、再び話を始めた。

《そういえばあの者のことで、主に言い忘れておったことがあったのじゃが》

今まで口を開くことのなかったペルギウスが、突然思い出したようにトヲルに話し掛けてくる。

「どういうこと?」

トヲルは二人が話し込んでいる様子を見ながら、自分の中にいるペルギウスに小声で聞き返した。

《主が意識を失っている間に、主の身体を借りていた我は今のあの者と、少し話をすることができたのじゃ》

「話って…どんなことを話したの?」

《あの者が我の能力ことを、いろいろと聞いてきたのでな。その辺りのことが中心じゃ》

(つまりそれって、コウヅキもペルのことを知ってるってこと?)

だとしたらコウヅキが期待しているのは――。

トヲルは「これから先、自分の身体が保つだろうか」と、かなり心配になるのだった。