「それ、ちょうだい」

黒炎を携えたアイが、前からこちらに近付いてくる。トヲルは後退ったが、異臭を放っている集団も、出入り口から次々と入り込んできた。

「ね、ちょうだい。そしたら一緒に遊びましょ」

その黒い炎はまるで生きているかの如く、今にも襲いかかってくるようだった。

トヲルはそれを見詰めながら、殺される瞬間のタスクを思い出していた。一瞬で自分の姿と重なり合い、押さえつけていた恐怖が全身を駆け巡る。

刹那――。

ズンッという鈍い音とともに、トヲルの身体全体に衝撃が走った。