うさぴょん号発進せよ

反射的に全員が一斉に、そこへ顔を向ける。

そこには15〜18歳程の、ミレイユよりは若干年齢が上くらいの少女がいた。

色白の肌に、腰まではあろうかという艶のある黒髪の少女は、トヲルが昔何処かの博物館で見たことのある、日本人形のようでもあった。

だが勿論、着物は着ていない。服装は赤い模様のついたスモックのようなものを1枚羽織っているだけで、靴は履いておらず裸足だった。

少女はトヲル達が通り過ぎようとしていた、扉の横に置いてあるシリンダーの蓋の上に、ちょこんと座っていた。足を揺らしながら、嬉しそうに笑っている。

しかしこの中の誰も、その少女がこの部屋に入ってきたことに、そしてそこに座っていたことにも、全く気付かなかったのである。

《其方、その気配は…》

ペルギウスがトヲルの肩から、少女を見上げた。

「アイね、おトモダチが一杯欲しいの。だっておトモダチと一緒だったら、ここに居てもぜんぜん寂しくないでしょ?だからアイ、ここで待っていたのよ」

『アイ』というのは、その少女の名前なのだろう。アイは、にこにこしながらこちらへ話し掛けてくる。

《其方はまさか、「闇の者」なのか?》

「ヤミのモノ?なぁに、ソレ?」

アイは不思議そうな顔で小首を傾げ、ペルギウスをじっと見詰めた。

その反応に、トヲルは更に驚いていた。