その表情からトヲルは、ミレイユが「小さい頃に、心臓が弱かった」と言っていたことを思い出した。

(もしかしてコウヅキ、あんなにミレイユのことを反対していたのって…)

『それとトヲル。あなたの肩に乗っているソレは、何かしら?』

「へ?あ!」

ヴェイトに指摘され、漸く思い出す。

「そうだった、すいません。何故か僕に付いてきちゃったらしくて。たぶん、瞬間移動能力のある動物で、その、僕にしか懐いてないみたいだから」

『…まぁ、それも仕方ないわね。そういう能力のある種族も偶にいるしね。今度はもっと頑丈な檻にでも、入れておくことにするわ』

トヲルはしどろもどろな言い訳をしたが、ヴェイトはそれを特に気にしている様子はなかった。

『それよりお前ら、こんなところでぐずぐずしてる暇はねぇんだからな。さっさとこっちに来い』

いつの間にかコウヅキは、ここから数メートル先にある、不時着している宇宙船の前に移動していた。トヲルとミレイユも、慌ててコウヅキの側に駆け寄る。

トヲル達が側に行った時には、コウヅキが扉を横にスライドさせて、開けているところだった。

『ん?簡単に開いたな』

『さっき船の中では言ってなかったけど、鍵は最初から開いていたわ。どうやら緊急時用の手動扉に、既に切り替わっているようね』

探査用ロボは話ながら、薄暗く狭い通路の中に滑り込んでいった。

『ということは、つまり』