「おいっ!」

突然の大声で、トヲルの身体が反射的にビクッと震えた。

「いつまでそこに突っ立ってやがんだ。さっさと乗り込むぞ」

「あ、うん、ゴメン」

慌ててコウヅキの後に続き、タラップを上った。

「ちょっと待ちなさい、トヲル」

しかし途中でヴェイトが呼び止める。振り向くとこちらに手を伸ばし、トヲルをじっと見上げていた。

「その肩に乗っている動物、こちらに渡してくれないかしら」

「え?」

「船長が早く引き渡せって、うるさいのよ。今はそれどころじゃないって言ったんだけど…まぁ、船長命令だものね」

ヴェイトは肩を竦めてみせた。