「ねえ、ペル」

トヲルの足元に座っているペルギウスに、小声で声を掛けた。

「本当にこの空間の中で、僕の両親の気配を感じたの?」

《…そうじゃ》

横を向いて目を瞑っていたペルギウスだったが、トヲルの声で顔を上げる。

《しかし何らかの影響を受けてダイブが突然中断し、場所の特定まではできぬかったが、それに間違いはない》

余程確証でもあるのか、自信たっぷりに言い切った。

「じゃあ今でも、それを感じることができるの?」

《それは無理じゃ。我にはもう、ダイブするほどの余力は残っておらぬ。ダイブするには、かなり体力を消耗するのでな》

そう言うとペルギウスは、再び目を閉じた。

ペルギウスの体力消耗は余程激しいのか、端から見ていてもかなり辛そうである。「また両親を探してほしい」などという頼みは、もうできそうもない。

《とはいえ、あと僅かでも近付くことが出来ればダイブするまでもなく、気配を感じることができるやもしれぬ。我はもう少しだけ、其方と共にいようぞ。
それに我は其方を助ける、と一度決めたのじゃ。その約束は我の命ある限り、最期まで貫くつもりぞよ》

「そんな、最期って…」