掴んだのはコウヅキだった。

「でも…」

「心配ない。いつものことだからな」

「いつも?」

「あいつ、いつもああなるとすぐ部屋に閉じ籠もっちまうんだ。でも腹を空かせた頃には、必ずケロッとした顔で出てくるから問題ないのさ」

「ふっ。コウヅキの過保護ぶりにも、困ったものだな」

「…っるせぇよ」

酒瓶を煽りながら茶化したビルホークを、コウヅキは睨み付ける。だがコウヅキの瞳からは、いつもの迫力を感じることができなかった。

「そうね、取り敢えずミレイユのことは心配ないわ」

先程まで二人の遣り取りを傍観していたヴェイトだったが、考え込みながら頬に手を置き、口を挟んだ。

「お姉ちゃんには引き続き脱出ルートを探索してもらうから、あまり十分なサポートはできないけれど、あんた達2人で行ってきてくれるわね」