大きくなったら、もっと手伝えるようになりたい―。

この前ミレイユが言っていた言葉を、トヲルは思い出した。

しかしコウヅキは頑として、首を縦に振らなかった。

「とにかく駄目だ!どんな危険があるかわからないのに、そんなところへお前を行かせるわけにはいかない」

「危険なんて関係ないよ。あたしは平気だもん、絶対に行くから!」

「っ!お前、いつまでもグダグダと我が儘ばかり言ってると、本当に身ぐるみ剥がして、船の外へ放り出すぞ!」

ミレイユに対して珍しく声を荒げたコウヅキだったが、ミレイユは

「お兄ちゃんの分からずや!バカっ!大っ嫌いっ!!」

叫ぶと階段を駆け下りて、出て行ってしまった。

「えっ!?ミレイユ!」

突然のことにトヲルは驚いて、反射的に追いかけようとしたのだが、後ろから腕を掴まれる。

「あいつのことは、放っておけよ」