「くそっ、なんで通信できねぇんだよ!」

突然聞こえた声に反射的に振り向くと、コウヅキが腕輪のモニターを見ながら怒声を上げていた。そしてすぐにそれを閉じると、床に落ちている散乱物を避けながら、階段の方へと駆けていく。

「お兄ちゃん!」

しかし丁度、ミレイユが階段を上ってくるところだった。

「!ミレイユ。無事だったんだな」

駆け寄り、抱きついてきたミレイユの頭を撫でながら、コウヅキは心底ほっとしたような表情を見せた。

「にしてもお前、腕輪の電源切ってたのか?通信できなかったぜ」

「電源?…ううん、切ってないよ」

ミレイユはコウヅキの身体から離れると、自分の腕輪のモニターを開いて確認してみる。