うさぴょん号発進せよ

《我は直接触れた者の言語、肉体の組織構造を、一瞬で理解する能力を持っておる。
これは、肉体を持たぬ我らが生きていくために、必要な力じゃ。
それ故、其方達が「人間」という者じゃと理解したのじゃが、しかし…》

小動物は言葉を一旦切り、苦悶の表情を浮かべた。

《我の能力は、現在は殆ど戻っておらぬ。本来ならば、複数の者との意思疎通が可能なはずなのじゃが、どうやら今は、其方一人が限界なようじゃの》

「それってつまり、僕だけにしか、話すことができないってこと?」

トヲルの問いに、小動物はコクリと頷いた。

《封印の影響か、或いは、我が宿っているこの肉体の影響か。何れかは分からぬが》

「肉体の影響?」

《そうじゃ。我の宿りしこの者の意識は、もう既に感じられぬ。
どうやら我が眠っている間に、寿命が尽き、息絶えてしまったようじゃ》

小動物はそう言うと両耳を下に向け、俯いた。

《…一体どれ程、我は眠っておったのじゃろうな。
その間にあの地が、あのような変わり果てた姿になっていようとは。
しかも同胞の気配さえ、もう既に感じられぬとは…な》