「しょれが、あの惑星での収穫でちか」

船に帰ったトヲル達を出迎えたのは、エミリーに抱かれた船長とミレイユだった。

ビルホークは連日徹夜続きだったため、現在は仮眠中だという。

コウヅキは小型船を降りると、さっさと一人で更衣室に入ってしまった。

「きゃあ、かわいいっ。なにこれ??」

ミレイユははしゃぎながら、肩に乗っている小動物を、ぐしゃぐしゃと撫で回している。

《い、痛い…ぞよ》

「ミレイユ、なんか痛がってるよ」

「えっ、そうなの?」

(やっぱり声、聞こえてないんだな)

トヲルは密かに溜息を吐いた。

「では早速、しょれをこちらへ引き渡すでち」

船長がトヲルに向かって、小さな手を差し出してきたのだが。

「船長、ちょっと待ってください」

「む?何でちか」

「あの、その…この生き物、僕にしか懐いてないみたいなんで…。
だから、着替え終わってから…、後から僕が持っていきます」

「?…分かりまちた。まあ、いいでしょう。しょれでは君が後で、こちらへ連れてきてくだしゃい」

トヲルからの意外なその言葉に、船長は怪訝そうな表情を浮かべた。