蜜花 -First.ver1-


気付けばそこは桜の木があった。
ピンクの花々は無く、青々としている葉が茂っていた。
大きいその木はあたしを日差しから守ってくれた。

「何してんだ?試合中だぞー!」

そう声を掛けられ、慌てて振り向くと閑玖が立っていた。

「なーんてな?どうしたんだよ。」

「あんたは…何してんの?」

閑玖はバスケ部があるので、屋内にいるはずだ。

「俺?…監督が話してるときに寝ちまってさあ~…罰ランニング!」

そしてあたしの隣にゴロンと寝転んだ。

「サボってるし。」

あたしが指摘すると、ニヒヒっと笑った。