「え?今の何?」
「彼女だよきっと!」
「ショックぅ~!!!」
「誰よその女?」
視線が。会話が。
所々で混じり合う。
あたしは思わず、顔を伏せた。
「大丈夫?透はモテるし…大変だね♪」
詩織は横でからかってくるけど…
あたしは消えてしまいたかった。
「透先輩の彼女、可愛いんだろうなぁ~。」
「当たり前じゃん!」
「きっとラブラブなんだよー!」
「透先輩の顔、凄く嬉しそうだったよね♪」
「愛されてるね~!!」
その通り。その通りだよ。
透はあたしを大切に想ってくれる。
宝物みたいに、大事にしてくれる。
…あたしは?
あたしは違う。
周りの子みたいに歓声なんかあげない。
シュート決まったって、喜ばない。
かっこいい?本当にかっこいいの?
「わかんないよ…」
わかんない。
あたしは…何を考えてるの?誰を想ってるの?
あたしが透の彼女?
「きゃー!!!!!またシュートだあ★」
見ても、ドキドキなんか…しないのに。

