蜜花 -First.ver1-


「え?今の何?」

「彼女だよきっと!」

「ショックぅ~!!!」

「誰よその女?」

視線が。会話が。
所々で混じり合う。

あたしは思わず、顔を伏せた。

「大丈夫?透はモテるし…大変だね♪」

詩織は横でからかってくるけど…

あたしは消えてしまいたかった。

「透先輩の彼女、可愛いんだろうなぁ~。」

「当たり前じゃん!」

「きっとラブラブなんだよー!」

「透先輩の顔、凄く嬉しそうだったよね♪」

「愛されてるね~!!」


その通り。その通りだよ。

透はあたしを大切に想ってくれる。
宝物みたいに、大事にしてくれる。

…あたしは?

あたしは違う。

周りの子みたいに歓声なんかあげない。

シュート決まったって、喜ばない。

かっこいい?本当にかっこいいの?

「わかんないよ…」

わかんない。

あたしは…何を考えてるの?誰を想ってるの?

あたしが透の彼女?

「きゃー!!!!!またシュートだあ★」

見ても、ドキドキなんか…しないのに。