でも、違った、選ばれたのは『アイツ』だった。
私に殺せといった『アイツ』だった。
私に殺された『アイツ』だった。
『ん?お前が『アイツ』を殺しただと、笑わせるねぇ。
『アイツ』は自分で死んだよ。それに誰も殺さなかった。
それだけじゃない人も蘇らせた。『アイツ』は本質を変えれた。
自分の命を引き換えにキミを蘇らせ、キミを助けた。』
私には言葉の意味が理解できたかった。
なぜ?なぜなんだ?
私の思考が崩れ始めた。
魂が次から次へと入ってきた扉から出て地上へ向かった。
また転生して、新たな人生を送るのだろう。
そして『アイツ』は違う扉からどこかへ向かった。
『『アイツ』は天国へ逝ったよ。さぁどうする?
お前の番だ。記憶は返そう。』
私の中の崩れ始めていた思考を修復するように記憶が体内へと戻ってゆく。
『地獄へ行こうか。転生なんて出来やしないよ。地上界で起こして罪を
思いだし後悔しながら地獄でいつまでもいつまでも苦しい思いをするのだな。」
「助けてくれ!!」
私は叫んだ。
そして地獄へと向かった。
『お前は何度もその言葉を聞いたはずだ。
助けてと言う者を助けたことがあるのか?
まず無いだろう。
聞く耳すら持たないだろうな。
煉獄の扉はまた閉じた。
そして悪魔たちは次の600人を待つのだった。